第8話　

　二生分を合わせて、高橋翔がこんなに困っているのを見たのは初めてだった。

　でも、私は全く同情せず、痛快な気持ちだった。

　「私は一度だけ裏切っただけなのに、君は耐えられなかった。これまでの人生で、毎回君が私に元凶に謝罪させ、補償を受けた上で感謝しろと言っていたけど......私がどれだけ辛かったか、どれだけ気持ち悪かったか考えたことがあるのか？」

　高橋翔は罪悪感を浮かべた。「でも、私は藤原優子に騙されたと思っていたんだ。君が悪いことをしたと誤解していた」

　私は冷たく言った。「違う、君は私に信頼を与えたことがなく、私の気持ちを考えたこともない。高橋翔、もう私を気持ち悪くさせないで。そうしないと、また何度でも君を刺すことも厭わない」

　高橋翔の反応を見ずに、私は本田隼人を連れて行った。

　本田隼人は今日は特にご機嫌で、道中ずっと歌を歌い、私を食事に誘った。

　彼は私を商業施設に連れて行き、妹へのプレゼントを選ぶと言ったが、結局、服やバッグ、アクセサリーを全部私に押し付けた。

　「お前、最近いい変化があるね、クソ男を拒否することを学んだおめでとう！」

　本当に理解したのか、私に復讐されるのが怖かったのか、高橋翔はもう私に近づいてこなかった。

　私は半月以上静かな日々を過ごしたが、両親の遺産を取り戻す件はうまくいかなかった。

　おばさんは泣き喚き、裁判の判決を実行しようとしなかった。

　おじさんは彼女が騒いでいるので、何もできないと言い、金も家も彼女の名義にある…...つまり、彼も返したくないのだ。

　私の財産を返すどころか、彼らは祖母の手術費さえ渋っていた。

　藤原優子が売った車は四百万で、まだ二百万足りない。それは祖母の半年分の給料であり、彼らはずっとズルズル引き延ばしていた。

　祖母は怒りが収まらず、手術を受けても耐えられずに亡くなった。

　彼女は和解書を出さなかった。

　藤原優子は再び盗みを働いた後、私に罪をなすりつけようとし、重い刑罰を受けることになった。

　おじさんとおばさんはあちこちに手を回し、二千万以上の金を使って裁判官や警察に賄賂を贈ろうとしたが、結局詐欺師に引っかかり、無駄に終わった。

　彼らは警察に通報したが、詐欺師は捕まらなかった。

　おじさんとおばさんはそのことで毎日喧嘩し、手を出すこともあった。